ワカメちゃんが教えてくれる、フランス流人生の楽しみ方
ワカメちゃんのモデルとなった、長谷川たかこ新刊『ワカメちゃんがパリに住み続ける理由』発売記念インタビュー
――その未来は起こってほしくないですね。そしてフランスといえば、「バカンス」のイメージが強くあります。それを実行するためにフランスは労働者の権利が死守され、人々の「仕事」に対する意識もどこか日本とは違った印象を受けます。実際、フランス人にとって「仕事」とはなんでしょうか。
“どこか”どころかすごく違うと思いますよ。必要悪……は言いすぎかもしれないけど、仕事好きな人も時々いますから。でも仕事好きな人も、娯楽や友達、家族と過ごす時間をとても大切にしています。
某電化製品のチェーンの組合が、日給3倍出すから、年に12回日曜出勤してくれ、という雇い主の提案を蹴った、というのは象徴的。仕事を美徳とは思っていないから、罪悪感なく遊ぶし、給料は少なくてもいい、時間が大切、という価値観があります。
――日給3倍!! 喉から手が出るほどほしいです。さて、昨今、国際情勢が幾分不安定になっていますが、パリは今でも日本人にとってやはり興味があり憧れの地であることはなかなか変わらない気がします。長谷川さんはフレンチカルチャーを発信している中で、フランスで働く日本人の方などへの取材も数多くされていますが、そこで生きる人々の特徴などはありますか?
フランス人と出会ったからフランスに住むようになった、あるいは日本を出たくて、出た先がたまたまフランスだった、という人たちと、目的を持って、フランスで何か学ぼう、自分の能力を試そうとやって来る人たちは違います。後者の人たちの情熱と努力は素晴らしいと思います。
みなさん、それぞれ苦労が多いでしょうけど、顔が輝いています。
――なるほど! それでは長谷川さんがフランスで、1番好きなシーン(風景/光景)はなんでしょうか。
南仏の内陸の小さな鷹ノ巣村、光の美しさ。
パリでは、誰もいなくなった夜のヴォージュ広場、セーヌ河岸の夜明け……久しくチャンスがないけど、深夜まで遊んでセーヌ沿いを歩いて帰っている時、夜が明けていく光景は、疲れも酔いもぶっとぶ綺麗さでした。
パリという街は、探しているものは見つからず、探していない美しい場所に出会う、というようなことをアナトール・フランスが書いていますけど、その通りです。
――最後に、お茶の間の日本人に一言をお願いいたします。
他人の目とか世間体を気にせず-言うは易し、ですけど――いい意味でわがままに、もっと自分の中の声に耳を傾けたらいいように思います。自分を抑制したり縛っているのは、結局、自分自身だったりしますから。
自分と折り合いがついて、居心地いい人生を送っていると、人に与えることができるし。
あと、愛する人、愛するものを持つのも大切だと思います、生きる元気をくれます。
ワカメちゃんは、現在、フランス、パリにて夫、子ども2人、猫2匹(1匹の名前はタマ!)と一緒に暮らしています。愛する人、愛するものを持ったワカメちゃんの力強い言葉に、じんわりと心が温まりました。